フジテレビのワラントによって一躍有名になったポイズンピル。と言ってもフジテレビのそれはすでに指摘されている通り、和製の現経営陣わがまま版というもので、本当のポイズンピルは株主総会でその骨子がリリースされていなければならない等指摘されている。イギリスではTakeOverCode、公開買い付けに対しては防衛策を講じてはならないとされ、ドイツもまた一部の例外を除いてそれに準じており、EUでは外国企業からの内国企業防衛(Opt-out条項)以外においては、Takeoverdirectiveといい、敵対的買収も含めて、欧州内で買収活動が活発化することで国際競争力を高めようという動きが主流。Opt-out条項による企業防衛は公開買付後の株主総会によって議決されて発動できる。ただ当初はポイズンピルを含む企業防衛策を全く禁じようとする動きに対して、ドイツがボーダーフォンエアタッチによるマンネスマン買収事件(株式交換方式)以降硬化して、Opt-out条項を入れさせたと言われているがいずれにせよポイズンピル等のトリガー条項はネガティブであり、アメリカ以外は活発ではない。
そのアメリカだけど、数千社がポイズンピルを取り入れていると言われているが発動例は1件というから意外。昨年11月の日経によると近年は次々にポイズンピルを撤廃する企業が続出しているそうで、その大半が株主からの要望らしい。元来ポイズンピル導入企業の株価は下がるという傾向があり、その辺も嫌気されているようだ。近年はチュアブルピル(Chewablepill・好条件の申し出があった時は発動しない)やTIDE-Provision(定期的に社外取締役がピルを検討する)を取り入れた類型も出てきているという。
日本では実はTOBに対しては最終的に上場廃止という戦法がありこれは結構被買収企業にとっては有利という評価がある。まあ、ポイズンピル等のトリガー条項導入すらなら、それより先に
キャッシュアウトマージャー等の少数株主保護対策を確立しておかないと、この国の法制はエスタブリッシュメント保護に走るからね。
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非上場の講談社はともかくとして、上場企業の東京電力がフジテレビのTOBに応じるんだね。
「東京電力 <9501> がこの日、保有するニッポン放送株15万9980株(発行済み株式数の0.49%)を、フジテレビが実施中のTOB(株式公開買い付け)に応じると明らかにした」らしいのだが、ニッポン放送開局以来の持ち合いだそうで、そうすると帳簿上は簿価処理可能だった頃の取得価格なのか?、会計法改正後を適応しても当時の時価よりも5950円というTOB価格はキャピタルゲインを取れているので、株主に不利益とはならないとの判断か?そういえば上場会社であるサンケイビルも当然TOBに応じているが、同じ理由で免責になるのだろうか。東電は2月中旬にTOB参加を判断したとのことだが、それが事実なら当時の株価はストップ高比例配分真っ最中なんだが・・・・・・・。相変わらず時価との乖離が500円近くあるわけで、時価売却>TOB参加という図式が東電の売り上げにどのような変化をもたらすかIRしてもらいたい。ディフェンシブ銘柄で配当が命のような電力株の株主は総じて保守的でおとなしいんだろうか?
昨日までフジテレビのワラントが商法上の不公正発行かどうか司法判断される時に主要目的理論、つまり資金調達の使途と規模が事業資金として正当性を持つかどうかが争点になると記したが、ライブドアのIRを見ると「本件新株予約権の発行価額は、株式会社フジテレビジョンによる株式会社ニッポン放送株式の公開買付開始前である平成17年1月14日までの3ヶ月間の平均株価(4,937円)を基準としているところ、その後の市場価格の高騰・支配権取得に伴うプレミアムといった点を考慮していない点において「特に有利な発行価額」に該当すると思われるにも拘わらず、新株予約権の発行につき株主総会による承認を得ていない」とあり、いわゆる有利発行である点も争うらしい。
予約権とはつまり行使するオプション価格を指しているわけだが、これが著しく安いのではないかという点を指摘している。確かに1株につき336円程度の予約行使価格はそういわれてみると、フジテレビになるべく負担をかけないように配慮されている気もしないでもない(難しい)。事実、ホリコ・キャピタルの堀古氏は「オプションの価値は大体1800円近くあるのではないかと思います」と書かれている。とすると1/5程度の価値と算定しているわけで、これなら紛れも無く有利発行となり株主総会の特別決議の対象となるとするライブドアの主張は正しいかもしれない。
スカパー公開買い付けにフジテレビの影?
昨日、
batuママさんから頂いたコメントで、スカイパーフェクトコミュニケーションズ(4795)が公開買い付けによる自社株買いを始めたのを知った。
IRによると「自己株12万株(発行済み株式の5.29%)を1株8万8000円で公開買い付けにより取得すると発表した。同社では中期ビジョンの積極的な推進のための機動的な資本政策実行の一環としている」とのこと。昨年までは10万円超で推移していた株価が、今年に入り、特に今月から3Q決算弱含み想定と思われる?断続的な空売りがずーっと続いていたので何でかと思っていたのだが、そういうことだったんだね。取次ぎ幹事が野村證券とわかり、ますます「安く仕込みたいための空売りだったんですか?」と突っ込みたくなる。昨年末は10万台で推移していた株価が今や買い取り価格割れの86000円なんだから(現行株価より公開買取値が高いのはインセンティブ付与分だから当たり前なんだけど)・・・・・何をかいわんや(株価操縦疑惑的爆笑)。
四季報を見るとスカパーの株主にフジテレビ(持ち株比率12.4%)が入っていて、例のワラント買取の原資調達のためにスカパーがフジ側に自社株買取で資金供給しているのではという噂も立っているようだが、多分今回の公開買い付けのターゲットは筆頭株主のソニー系企業へ向けてと思われる。これは至極簡単な理由で、総務省が今春にも改正する放送法における外国人持ち株比率の問題(外国人持ち株比率は株式の直接的な所有で20%を超えない)で、ライブドアの筆頭株主が結果的にMSCBの転換でリーマンブラザースになってしまい、それが放送局への間接支配と揶揄されているのと同じ理屈で、スカパーの筆頭株主のソニーの大株主が今や外国人だらけということを念頭に置いたものだろう。今後は他局も失念株の問題も含めて間接支配の外国人株主移動が必要になると思われるが・・・・・。こんなところにも波及するとは。
三井物産が三井鉱山入札辞退
昨日の日経に小さく掲載されていたが「三井物産、三井鉱山の入札辞退」という記事。ああ、ライブドア問題に首を突っ込んで(ニッポン放送の比例配分に並んで爆弾落とされたから・笑)いたら、本丸の三井山もおもしろい事になってきた(笑)。というか、日経平均堅調、ダウ急伸、原油高、資源株の幅広い物色という、「わが世の春」のような好環境なのに、三井山は不感症を通り越して休眠銘柄化が進行している(爆)。昨日の393円の急落は、物産撤退報道のやれやれ売りで一応398円の窓を埋めたと思われるが、それにしても日足の下ヒゲの長さが笑える程に長い(笑)。
今日も含めて5日連続陰線なんだけど、昨日の150万株のぶん投げで信用買い残はちょっと軽くなった。これは喜ばしい。でもこんなもんじゃあ済まないのが三井山の凄さで(笑)、当面は信用買い残の解消とともに、多分、今後予想されると思われる三菱商事の入札自然消滅等(あり得ると思うけど?)で、ますます下値探りの展開になると思う(苦笑)。基本的に新日鉄・住友商事・大和SMBC+電源開発という流れなんだろうね。三井鉱山の現社長は電源開発出身に加え、三井住友フィナンシャルグループが取引行として君臨している以上、三井物産が大騒ぎして新日鉄との関係を悪化させたくないのだから・・・・・。私的には物産・ISGの落札で外資の買いを期待していただけに残念。
そんなわけで売却予定株価を下方修正かも。一目均衡での目標株価はN計算値で1/11日の終値439円から直近底値2/24の406円を除してそれに足した439円+α程度に落ち着く。もちろん平均取得単価を割ってきたら落札決定・決算前ならナンピン入れる予定。しかし、つくづくあのニッポン放送の負け分(-17000円)がイタイ(核爆発)。
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2月25日
投資銘柄
ホールド三井鉱山403円@1000株保有(現値408円=+5000円)
余力現金250700円+株式408000円=現資産658700円
口座残高658700円-軍資金650000円=損益+8700円
本日運用利回り1.33%/since janu.4.2005
昨日も書いた通り司法が法理解釈を超越して通俗的で実務的な判断をした時には、つまり通説上の主要目的論を止揚して、放送法との連携の中で判断した場合、ライブドアの仮処分は棄却される可能性が高いと思われる。もちろん地裁が主要目的論のみに拘泥すればワラントが行使された場合、4700万株もの増資となる今回のケースは単なるスタジオ建設費として認められるとは思えないのでライブドアの仮処分申請は認められると思うのだが・・・・・。
フジ側の勝利を確信した自信の論拠となる判例は、やはり例のベルシステム24の第三者割当増資差し止め訴訟での判例だろうね。CSKの連結対象子会社だったテレホンサービス大手のベルシステム24が日興系投資会社に第三者割当を実施しCSKから分離したもので、両社の経営陣の内紛が取り沙汰される中、CSKのベルシステム24の持ち株比率を希薄化するために取締役会決議を経て増資を敢行。当然
CSKサイドは第三者割当増資による新株発行を差止める仮処分の申立をしたが東京地裁が棄却。その後の東京高裁も同様の判断がなされた。
このことは主要目的(このケースでは事業資金のために)の辻褄が合っていれば、傍論(隠蔽された意図)として経営権の防衛・維持(逆のケースでは経営権奪取)のための増資は違法ではないという判断となり、それによって惹起される株式の希薄化に対する経営陣の責任は無いというもので、現行株主の蒙るであろう利益の喪失は全く斟酌されないという(逸失利益の算定は株主がやれという判断)、経営陣防御の伝家の宝刀みたいな判例で、これがフジ側の拠り所とするもの。いなげや・忠実屋事件の判例(企業防衛増資は不公正発行とする判決)とはややニュアンスが違う点は親子関係を絶とうとする側が勝利した点で、M&A推進派の経済人や法曹人達はこぞって支持したんだが、今はそれが防衛側の思想的バックボーンとなっているのが何とも皮肉(苦笑)。
今回の焦点は主要目的理論に収斂する一方で、ニッポン放送側の「ライブドア傘下になるとフジテレビグループからのコンテンツ供給停止がなされ売り上げが激減する」という主張の帰結が、今回の新株予約権発行で、それが株主保護の観点から整合性があるのか、また単なる親子関係内における戦術論なのかという司法の見極めと、ひいては放送法下での事業の継続性維持、遂行能力という実務的判断になると思われるが・・・・。
ライブドア側は現在、差し止めの仮処分申請をしているが、今後はこれと平行して取締役の違法行為差止の仮処分の申立、ワラント発行後は新株発行無効の訴及び地裁棄却時には即時抗告という手続きになると思う。
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結論から書くと(あくまで憶測だけど)、司法判断で今回のニッポン放送側の第三者割り当てによる新株予約権発行が商法の不公正発行かどうか判断されることになろう。つまり商法280条の10の不公正発行を巡る争点。
ライブドア側としては本訴で事前的救済として新株発行差止請求権(商法280条10)を、事後的救済として新株発行無効訴権(同280条15)を争い、緊急措置として新株予約権の発行差し止めの仮処分申請ということ。株主としては取締役の忠実義務違反等の訴求もあると考えるが・・・・・。不公正発行を争う場合、日本の裁判所の判例基礎は新株発行の使途の問題に収斂していく。結論から言うと例え純然たる投資資金の調達目的があっても、一方で会社の支配権を強化・維持する目的がある場合、前者と後者とを比較し、後者の目的が主要である場合には、不公正発行にあたるとする。これを主要目的理論といい、通説の立場でもある。これに対して企業の資金需要は当たり前のことであり、付帯する理由が何であれ資金需要の主目的は動かないというものもある。これに類する判例もあるが、近年の傾向(平成10年以降)は、やはり通説の立場に立脚した司法判断が多いようだ。すなわち業務執行上新株を発行する合理的理由がある場合でも、株主間の経営権争いに影響を与えるかぎり、機関の権限分配秩序に違反してその発行は不公正発行となるというもの。これをサポートするものとして、割当先の選択そのものの合理性を問うことによって解決すべきとする見解が有力であることを考えると、あくまで取締役の中立による善管注意義務・忠実義務による「割当て自由の原則」が保障されている訳で、これらを勘案すると今回のニッポン放送の新株予約権発行は、明らかにグレーゾーンに突入していると言わざる得ない。
ただ放送法の庇護を受けた放送機関であることが前提となると、ここに報道の自由・公平性の確保維持という公器としての原則論が台頭してくるわけで、裁判所はここを突破点としてライブドアの業務内容との差異を精査した実務的な判決を言い渡す可能性もある。
もう少し原則論に則って今回のニッポン放送の行為を見ると、まず資金使途が臨海副都心スタジオプロジェクトという事業計画が、果たして定款の授権株式のマックスに当たる8000万株もの新株発行によって賄わなければならない事業なのかどうかという点。ライブドア本社がある六本木ヒルズが総工費2800億円で、今回、フジテレビが払い込むマックスの金額と一致しているが、とすると今のフジテレビのお台場社屋はどうするのという話になる。しかもちょっと「臨海副都心スタジオプロジェクト」でググればわかるが、すでにこの事業に向けてフジテレビは昨年に増資をしている上に、ニッポン放送はその事業のために6万株のフジテレビ株を売却している。当時の報道ではスタジオ建設費等の事業費が580億円で、総事業費ベースでも1000億円のプロジェクトだったはずで、どうして短期間の間にこんなに事業費が変更してしまったのか全く不明。これではライブドア排除のためのと普通なら思われてしまうね(笑)。企業財務的にもお笑いで、普通なら工事費等は一括計上せず償却していくと思うのだが、この金額だと太っ腹の一括払いだねフジテレビ(笑)。
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法律の条文とは難解なもので、よくよくきちんと読まないと誤解釈することになる。当プログでも全く勘違いしていたんだが、こんな適当なブログでの誤解は市場には何の影響も与えないが、乗っ取りを仕掛けた張本人が勘違いしているとしたら?それは大変な事になる。勘違いなら良いが風説の流布よろしく、意図的にインフォメーションを誘導していたらマーケットには多大な影響を及ぼしてしまう。
大量保有株主の売買を規定する証取法の解釈を堀江氏は全く間違っている。彼はメディアに出て「ニッポン放送株は半年間は売れないんです」と喧伝しているが、これはとんでない誤解釈であることを指摘したい。
証取法164条は10%以上を保有する株主が六ヶ月以内に反対売買して得た利益の返還を謳っているが、この条文解釈は、
主要株主になった後に当該株式を追加購入して得た利益の返還を規定したものであり(日経22日付11面)、つまり2月8日に取得した35%は市場で売却しても良いし、フジのTOBに応じても良いのだ。堀江氏が返還しなければならない利益は35%取得後に獲得した5%分の売却益で、先行取得した35%の売却益は堀江氏(ライブドア)の利益となる。知らずにメディアで反対売買できないんですと言っているならMSCB800億円を調達して死ぬ気で勝負していると言う割には全くの不勉強。知っていてグリーンメイラーでは無いとカモフラージュしているなら、とんでもない詭弁家ということになるね。
元税理士の宮内氏、外資金融マンの熊谷氏ら銀行、証券関係者が多数社員として居るのに、どうしてこういう事に成るのかな?熊谷氏に至ってはリーマンブラザースの空売りを企業IRとも言うべきブログで否定(その後東証が空売りの事実を開示)したりねえ・・・・・。
フジテレビの経営陣には株主利益の追求というコンセプトが無いのは事実で、年寄りの実に保守的な経営理念が見え隠れしていて、決して褒められたわけではないが、ライブドア側のこの言いたい放題、やりたい放題という経済行為を以って、古典的な経営手法を打破する革新と断ずるのは彼らと同世代の筆者が見ても「ヘソで茶沸かす」という感じがしないでもない。これではイーバンク買収の失敗の経験が全く生きていない・・・・・・・・・。
三井鉱山の不感症ぶり(笑)
5日移動線419円、25日線418円を割った三井山。チャート的には十字線になり前日終値からは孕み線で転換の暗示。
それにしても決算がサプライズじゃないからといって資源株であるというアドバンテージが減退することは無い。元来、主力であるコークスの価格改定は時価では無く、契約価なので急激な上方修正を伴う数字は出づらいわけで、それは川上の資源株全般に言えること。小売とはいえマーケットにより単価変動するスーパーとは差異があるので、それと同列の評価を下して投売りするのは早計の極みと思う。
もちろん一人でそんな事を騒いでいても、センチメントが材料出尽くしと判断すれば深い押し目、つまり398円の窓を埋めに行く。1200万株の信用買い残がその押しで解消されて現物ホールド優勢になれば、ファンダ的にはこの位置に居る株では無い。笑っちゃうくらい含み益は消えていくがまだまだ(笑)。
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2月22日
投資銘柄
ホールド三井鉱山403円@1000株保有(現値417円=+7500円)
余力現金250700円+株式417000円=現資産667700円
口座残高666700円-軍資金650000円=損益+17700円
本日運用利回り2.72%/since janu.4.2005